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2012年1月15日 (日)

ロボジーとリアル・スティールに思う、今庶民が求めるもの

今日封切られた「ロボジー」を家内と見に行った。予想以上の盛況で、1時間前にチケットを買いに行った時には、前から2列目しか残っていなかった。映画館は、多分、これほど入るとは思っていなかったようで、比較的小さな部屋を割り当てたのも、早々と席が無くなった原因だろう。

私がこの映画を見に行ったのは、予告編によるところが大きい。老人がロボットの中に入って、2足歩行ロボットの振りをするという、単純で馬鹿ばかしい設定に、妙に興味を引かれたのだ。他の多くの観客も同じではなかっただろうか?館内は満員で、子供連れ、中高生から、カップル、老夫婦まで幅広い客層だったのも、興味深い。

ストーリーは予告編そのままで、中堅の家電会社が宣伝のために、お荷物社員3人にロボット博覧会への参加を命ずる。しかし、開発は思う様には行かず、出場直前にロボットは暴走して壊れてしまう。首になる事を恐れた3人は、ロボットの体の中に人間を入れてロボットの振りをさせ、危機を乗り切ろうとする。そのため、着ぐるみショーのオーディションを装って、ロボットの体の中に入る人を募集する。そして、腰を痛めてぎこちない歩きをする老人に白羽の矢を立てる。あとは、期待通り、その「ロボジー」が様々な騒動を引き起こすのである。単純明快でバカバカしいが解り易い笑い満載の映画である。

思えば、3.11以来、地震、津波や放射能漏れ事故の影響を多くの人々が直接的、間接的に受け、悲しさや憤り、ストレスがたまる1年だった。しかも、特に放射能漏れ事故は明らかに人災であり、高度な科学技術を背景に金と権力を握って国を動かしていた一握りの人たちが自らの責務を怠っていた事が原因で、しかも事故後も自らの保身に終始し、それが更に被害を大きくした事に、やり切れない思い、やり場のない憤りを感じ続けた1年でもあった。だからこそ、人々は、家族や友人はもちろん、世代を超えて他人同士でも、皆で一緒に腹を抱えて笑える機会を求めていたのではないだろうか?ロボットはハイテクの象徴であり、それにヨレヨレの老人が入って動き、それが人気を博す、そのユーモラスで人間味あふれる動きに心の安らぎを求めているのではないだろうか?

そういえば、昨年暮れからロングランを続けている映画に「リアル・スティール」があるが、こちらもロボットを主役にした映画である。しかも、このロボットもスクラップ置き場から掘り出された旧式のスパーリング用ロボットで、世の流れから置き去られ、切り捨てられた元ボクサーとその息子とともに、金と権力を思うままに操るセレブが所有する最新鋭で世界最強のロボットに挑んで勝利するというストーリーだ。こちらも、社会から切り捨てられかけた社会の底辺の庶民が、金に任せ、科学技術を駆使して権力の座に居座る者に挑戦して打ち勝つ、という図式である。ここにも、弱者切り捨て社会への不満、権力と科学技術への不信、不満、古き良き時代へのあこがれと言った、現在のアメリカの世相が反映されているように思える。この2つの映画に、庶民の科学技術への冷めた目を感じるのは、考えすぎだろうか。

 ちなみに、ロボジーの主演の五十嵐信次郎は、一般公募で選ばれたと言う事であったが、どこかで見た事がある気がしていた。エンディングテーマがやけに解り易い英語で、しかもちょっとシロウトっぽいけどうまいので、誰がうたっているのかと思ったら、五十嵐信次郎+シルバー人材センターとある。ひょっとしてとネットで調べたら、五十嵐信次郎とは、ミッキー・カーチスの本名だった。してやられた、まんまと策にはまってしまった。宣伝法も凝っている。

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